ブッダ物語●上達よりも大切なこと(2)

 ブッダからハンドクは、一本のほうきと、「ちりを払わん、あかを除かん」の聖語を授けられ、毎日、掃除をするよう勧められた。
“世尊の仰せられるとおりにしよう”。決意したハンドクは、
「ちりを払わん」。
 大きな声で唱えながらほうきを動かす。ところが、続く言葉が言えず、手がすぐに止まる。後ろでブッダが、「あかを除かん」と言われると、ようやく、
「あかを除かん」。
 だがすでに、「ちりを払わん」を忘れている。手がまた止まる。
 ブッダが再び、「ちりを払わん」をおっしゃる。こんな懇切な教導にも、わずか一言が身につかない。それでもハンドクは、やめようとだけは思わなかった。

 倦まず、たゆまず、二十年間、彼は同じ努力を続けた。
「おまえは、何年掃除しても上達しないが、上達しないことに腐らず、よく同じことを続ける。上達することも大切だが、根気よく同じことを続けることは、もっと大事だ。これは他の弟子に見られぬ殊勝なことだ」
 一度だけ、こうブッダに褒められたことがある。

 シュリハンドクはやがて、チリやほこりは、あると思っているところばかりにあるのではなく、こんなところにあるものかと思っているところに、意外にあるものだということを知った。そして、「オレは愚かだと思っていたが、オレの気づかないところに、どれだけオレの愚かなところがあるか分かったものではない」
と驚いた。ついに彼に、阿羅漢のさとりが開けたのである。
 よき師、よき法にあい、よく長期の努力精進に耐えた結実にほかならない。

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