ブッダ物語●給孤独長者の述懐(2)

 ブッダ在世中、給孤独という有名な長者がいました。給孤独長者の述懐を聞きましょう。
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 若いころから地位や財産に恵まれ、暮らしに困ったことも、大きな災厄に遭ったこともない。その身の上に感謝してはいますが、それ自体を幸せと感じたことはありません。一生をあくせく働かずに過ごせる財を持ちながら、こんなことを言えば、信じられないと言う人もあるでしょう。しかし金や物の有る無しと、幸福感とはあまり関係ないのだと、私は思います。
 もちろん、立場にあぐらをかくつもりはなく、富を独り占めにするまい、必要以上に貪ってはならないと、慈善に努め、身寄りのない恵まれぬ方々に財を施してきました。おかげで信用や名声を得て、多くの人が私を「給孤独」と呼ぶようになりました。有り難い、喜ばしいことです。だが、”生まれてきて本当によかった”という、心の底から湧き上がる生命の歓喜とは違うものでした。絶えず、「何かむなしい。なぜだろう?」「この飢えた心にどんな滋養を与えたらよいものか」と暗中模索し、どこかにその答えを示される大徳がましまさぬか、と探し求めていたのです。

 ある時、宇宙の真理をさとった”ブッダ”という存在を知りました。”そんな方が本当におられるのならば、一度でいいからご教導を賜りたい”と思いました。でもそれは想像上の存在だろう。人は、現実の苦しみに汲々としながらも、耐えて生きていくだけなのだと半ばあきらめていましたから。
 ところがどうしたことでしょう。そのブッダが、明日ここにいらっしゃるのだと、義兄は事もなげに言うではありませんか。実際に教えを受けた者だけが知る空気を彼に感じ、私は興奮しました。
(つづく)

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