ブッダ物語●祇園精舎(3)

 さまざまに巡る、太子の思いを察してか、長者は続けた。
「ブッダ・釈迦牟尼は紛れもなく真如より来現したお方。尊いお姿をご覧になり、み教えを聞かれれば、その違いが分かられるでしょう。仏と同じ時代に生を受けることは、幾多の生死を重ねても有り難いのに、今こうして遇えたのは、何よりの驚きであり、喜びではありませんか。万劫にもないこの機会を逃すことはできないと、聖地をほうぼう探し回ったのです。町に近すぎては騒がしくて聞法の邪魔になる。かといって遠すぎては参詣者に不便です。毒蛇や猛獣が出没する危険な場所は避けねばなりません。吟味を重ねてやっと見つけたのが、太子、あなたの樹林でした。市街からも近く、広さも十分。静かな森に、澄んだ水の流れる小川、小鳥のさえずりが心を洗う。ここしかないと、私は確信したのです。金に糸目はつけません。どうかお願いいたします」
 その熱意には打たれるものがあった。だが、太子の疑念は晴れない。これは果たして、信用してよいものか。そこで何か条件を出し、長者の気持ちを確かめてみようと思ったのである。
(つづく)

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