ブッダ物語●祇園精舎(4)

 ブッダをお招きする精舎(寺院)の建立に奔走する給孤独長者は、祇陀太子のもとへ行き、土地の譲渡を願い出た。その熱意に太子の心は動いたが、まだ承諾できない。そこで長者の心を知るため、太子は一計を案じた。

“こんな男には、今まで会ったことがない”
 給孤独長者と言葉を交わすうち、祇陀太子はそう思うようになった。多くの恵まれない人々へ財物を施していると聞いても、初めは売名や儲け話と絡めて考えていた。だが実際に会ってみると、真心から他人のために行動しようと努めていると分かる。私心や野心とは縁遠く、立ち居振る舞いも堂々として、こまやかな配慮も感じられた。すぐ、彼の信奉する仏陀にお会いしてみたいと思ったほどだ。しかし、疑念はまだ残っている。慎重に結論を出そうと太子は、一つの条件を提示する。
「よろしい。では、あの土地に金貨を敷き詰めただけの金額で譲りましょう」
 偽者なら、そんな巨額に、あきらめるに違いないと思ったからである。
(つづく)

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