ブッダ物語(玉耶の仏縁)(2)

 家長の給孤独長者も困り果てている。女性は見た目が第一と思い、探し当てた息子の嫁。容貌は申し分ないが、内面は幼いままだった。労を惜しまず、他人のために働くことを当然としてきた長者には、彼女の日常は理解を超えている。食事の準備や片付け、掃除、整理整頓、人としてなすべき生活の基礎を、端から彼女は身につけていなかった。だが、こちらから持ちかけた縁談だから、今更、離縁もできない。長者家族は途方に暮れ、かねて崇敬するブッダにおすがりするしかないと考えた。
 給孤独はその日、世尊を訪ね、”何とか彼女の心掛けがよくなるようにお諭しを”と願い申し出た。

 深く同情なされたブッダは、早速、長者の屋敷へ赴くと仰せられた。晴れやかな顔で長者が帰宅すると、家人がいつも以上に掃除に精を出し始める。何かあると感じ取った玉耶は、傍らの使用人をつかまえて尋ねた。
「ハイ、何でも明日、お釈迦さまがいらっしゃるようでして……」
 バカ正直な返事から、玉耶は自分の矯正計画を見抜く。明日は一歩も部屋から出るまいと誓った。舅たちは、ブッダの手前、さぞ困るだろう。
“アホクサ。説教なんて、だれが聞くもんですか”
 彼女は一人ほくそえんだ。
(つづく)

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